くだり

朝、周りが明るくなったころに目が覚めた。気持ち悪くて目が覚めた。

周りを見ると、がれがれの木や草の生えていない山道をバスは下っていた。例によって、曲がりくねった道が続く。下りなので、比較的スピードも出ている。前から2番目の席に座れたことは幸運だったと思う。前でこれだと、後ろの席だとどうなったことか。

しかし、こんな荒れた山の所まで下って来たので、もうすぐ平地にでて、ナスカだろう。

と思ったが全然状況が変わらない。徐々に徐々に気分が悪くなっていく。とうとう耐え切れず、後ろのトイレに入って吐く。トイレに入ると、その車体後部の揺れが胃腸を適切に刺激し、良い塩梅に吐くことができた。あー、きもちわるーーー。

車掌はトイレの横の席でぐっすり寝てるよ。よう寝れるものだ。

しかし、それでも、道の状況は変わらない。吐いていくぶんすっきりしたので、水飲んで景色を眺める余裕が出た。前を見ると、延々と、曲がりくねった道が続いている。木が無いので、遠くまで見えるのだ。斜度はそんなにきつくない。

ということは、低いところまで下がって来たと言うのは認識違いで、まだまだ高いところにいると言う訳だ。アンデスの海側は相当高いところから荒涼としたがらがらな山脈のようだ。そういう山を4000メートルの高さから、ずっと下って行く道なのだろう。

げっそり。

途中街を一つ通過した。ロンプラの地図をみると、山中に一つ街があるので、そこだろう。クスコまであと、数100キロといったところか。まだ、標高にして1000メートルは下りそうだ。

あー。また街にやって来た。と思ったら、バスは止まって。クスコだった。下りるのは僕らだけ。皆、リマまで行くようだ。バス停の建物の中のベンチに座り込む。